「三重テラス 伝統工芸部」第9回活動

「三重テラス 伝統工芸部」第9回活動 部活動

2026年6月25日(木)18:30~20:30

■ 参加者数: 13名 

今回も、参加者それぞれが普段から愛用している工芸品や民芸品を持ち寄り、その品物との出会いや思い出、暮らしの中でどのように使い続けているのかを紹介し合いました。

交流タイムは、伊勢茶とともに。

工芸品を見るのはもちろん、工芸品は使うことで本領を発揮します。

ということで今回も萬古焼の湯飲みで伊勢茶を飲みました。

(伊勢茶は鈴鹿園さんの伊勢茶を使用しました。)

会場には、アイヌ民族の木彫り人形「ニポポ」、漆塗りのワイングラスや花器、江戸ガラス、高岡銅器の名刺入れ、信楽焼のオカリナ、松阪木綿や伊勢木綿の着物、成田屋人形、染付の豆皿など、全国各地の工芸品が並びました。

作品を紹介するだけではなく、「なぜその工芸品を選んだのか」「どのように使い続けているのか」を共有することで、参加者同士がお互いの価値観やライフスタイルを知るきっかけにもなりました。

発表後は、実際に工芸品を手に取りながら交流を行いました。

漆の修理方法や木綿の柄合わせ、着色技法、着物文化、お手入れ方法など、専門的な話題から日常使いの工夫まで話題があがりました。

参加者の声

参加者からは、

「工芸品は飾るものだと思っていたが、日常で使い続けることに価値があると感じた。」

「一つひとつの工芸品に持ち主のストーリーがあり、とても興味深かった。」

「旅行先で工芸を見る視点が変わりそう。」

「修理しながら長く使うという考え方が印象に残った。」

「工芸を通して、人や地域とのつながりまで感じることができた。」

「実際に使っている人の話を聞くと、工芸品がぐっと身近に感じられる」

「作品だけでは分からない背景を知ることができた」

など、多くの感想が寄せられました。

―伝統工芸部漆原さんの感想―

6月25日に伝統工芸部第9回部活動が開催され、参加者各人が持ち寄った工芸品の鑑賞会を行われた。14名(男性7名女性7名)の方が参加されました。うち6名の方が初参加であった。参加者の方に御披露頂いた工芸品は、アイヌ工芸品、乾漆の花瓶、石目塗が施されたワイングラス、高岡銅器の名刺入れ、白薩摩の急須、出雲黒柿の長角トレー、アジア製の碗、人形、高岡銅器の銘々皿、常滑焼の急須などであり、伊勢木綿など着物で参加された方もいらっしゃった。参加されたすべての方にご持参頂いた。また、今回、初めて参加された本間さんはお持ちの着物を持参されたが、今回は着付けされずにご参加されたが、できれば着物を着たいというお気持ちをお持ちのご様子であった。

 最近、伝統工芸という分野は決して簡単なテーマではないと改めて思いしらされている。私は約30年伝統工芸品に関する分野で仕事をしてきて、これまで伝統工芸品産地を約170箇所訪問し、職人の方、作家の方、小売店の方、流通の方、組合の方など膨大な数の伝統工芸関係者とお会いしてきた。その際、できうる限り生産の現場を見学させてもらうようにしてきた。展示会でも製作実演も何度も見学してきたし、機会があるたびに、積極的に製作体験にも参加した。最初に配属されたのは企画部で展示会での実演、体験、提案コーナー設置などをずっとやっていた。今は漆器に絞っているが、もっとひどい。年柄年中、企画をたて、そして、自分自身がアクターにもなっている。

しかし、それによって、伝統工芸品が体得されるということはない。伝統工芸を体得する方法は、伝統工芸品を自分の生活に取り入れることでしか、実現できないと思っている。誰でも生活を変えることは簡単なことではない。生活を変えることは自分を変えることといっても過言でないからである。私は伝統工芸品を自分の中に入れていくために、上述のとおり、産地を訪問して製造の現場を訪問したり、作り手の方にお目にかかり、お話をうかがったりしていることを行ってきたが、これらを行うことを基軸に置くことに安住して、むしろ、伝統工芸品を体得する作業、すなわち、生活に取り入れることをさぼってしまっていた。

主体を他者に置くのではなく、自分に置かない限り、伝統工芸品は入ってこないと強く思っている。その意味で、参加者の方が自身の工芸品を持ち寄る鑑賞会は非常に有効であると思っている。なぜならば、その間に伝統工芸品を鏡として、自分自身を向き合う作業を行うことになるからである。上述の本間さんは着物を着ようという試みに半歩踏み込まれたのであり、一歩にはなっていないが、まさに、自分を変えようとチャレンジしてきて下さったのである。次回以降、君島さん、水野さん、山田さんたちのサポートを得て、本間さんが着物の人に向かってもう半歩踏み出すうことができれば、本当に素晴らしいことである。もちろん、その先の道のりは非常に長いが、「着られたか」、「着られなかったか」では天と地である。一度着ない限り、絶対に前に勧めないからである。また、例えば、漆器の汁椀やカップは日本産木製漆塗でも5,000円程度で購入できるし、木製漆塗の箸は2,000円以下で良い物が買える。金銭の問題ではない。生活を変えられるか、自分を変えられるかどうかという話なのである。だから、伝統工芸部に毎回参加したとしても、伝統工芸品を使って自分自身と向き合わない限り、伝統工芸品の表面的なことにとどまり、体得する方向には向かわないであろう。

先日、協働ステーション中央でのイベントに参加して、東京ボランティアセンターの方のお話をうかがった。ボランティア活動の基本は無理せず少しずつ継続していくことと教えて頂いた。伝統工芸部の部活動を昨年度は8回開催したが、決して少なくはないというか、非常に多いとのことであった。私も同感である。三重テラス部活動はボランティアとイコールではないのかもしれないが、類似している点は多いように思う。行事を集中して一気に複数回行うよりも、むしろ、回数は多くなくても、一回一回を大切にし、少しずつでも一定期間継続していくことに十分な価値があると思っている。

 今回は漆芸家で日展会員である繁昌孝二さんにお越し頂いた。乾漆は一般の方には馴染みがないので、作品を手にして頂き、また、作家の世界もあることをお伝えできたので良かったのではないかと思っている。また、新日屋の山口洋文さんにもご参加頂いた。終了後に、「水野さんと関係ができました。感謝します」という御連絡を頂いた。前回の第8回部活動の感想で触れた「連」的な役割を伝統工芸部が果たすことができたのであれば、本当に嬉しいことである。

いつも協力して下さっている三重テラスのスタッフの皆さん、また、参加して下さった皆さんに感謝申し上げます。

― コミュニティマネージャー阿部のコメント ―

今回も伝統工芸に関する初心者の方から作り手、使い手、研究者など、さまざまな立場の人が集まりました。工芸品は作品として鑑賞するだけではなく、日々の暮らしの中で使い続けることで、新たな愛着や価値が生まれると改めて実感しました。