「三重テラス 伝統工芸部」第5回活動

「三重テラス 伝統工芸部」第5回活動 伝統工芸部 | 部活動

2025年10月6日(月)19:00~20:30

■ 参加者数: 15名

― 伝統工芸部部長・漆原さんの感想

第4回の部活動からわずか3日後の開催となったが、15名の方にご参加頂き、工芸品の鑑賞に特化した、少人数のアットホームな会となった。ご参加いただいた方々、皆さん、ご自身のお好みの工芸品をご持参いただいた。オカリナ(信楽焼)、摺りスプーン(出雲)、マグカップ(有田焼)、ビアカップ・ぐいのみ・椀(備前焼)、下駄(津軽塗)、コースター・プチ皿(烏城彫)、琥珀アクセサリー、徳利(倉敷ガラス)、ティッシュケース(箱根寄木細工)、名刺入れ(擬革紙と伊勢木綿)、椀(香川漆器の後藤塗)、伊勢和紙、色墨(鈴鹿墨)、筆、白硯などであり、まさに、バラエティーに富んだ多様な工芸品が集まった。今回も着物でお越しいただいた女性の方もいらして、伝統工芸の会らしい雰囲気に華を添えて下さった。また、若い世代の参加としては、東京藝術大学大学院で工芸史を研究されている学生が自身の研究テーマである香川漆器の椀を持ってきて下さった。

 かつて、民藝運動を起こした柳宗悦は『民藝とは何か』においては、「後代の茶人達が何故民藝の美を認めるに至らなかったか。彼らの見方が自由を失ったからです。認識は直観の基礎を失い、概念が変わってその位置を占めたからです」と述べている。かつての私も後代の茶人たちと同様に直観を失い、概念に支配されていた。だから、伝統工芸品を純粋にモノとして感じることができないでいた。今、このような会に参加し、工芸品の美しさや優しさを感じられることは嬉しいことである。

また、柳宗悦は『蒐集物語』において、収集を「人間の心の故郷に帰ること」とし、「美しいものを愛することを、自分の本来の面目を、そこに見出し、且つ、見直すこと」と評した。先入観を持たず、自分の好みに素直に近づいていくことこそが、自身の素養を磨いていくにつながるということであろう。純粋に自由に自分の好みにしたがい、素直で無垢な気持ちで工芸品を鑑賞することを行っている伝統工芸部の取り組みは、工芸品に対しての向き合い方として適切なアプローチ方法であると思っている。

― 参加した部員の感想 ―

「島根の木のスプーンを漆で2回塗り直して30年使っています。金属ではなく木だから音も味もやさしくなる。」

「備前焼は手触りが良く、ご飯を食べても米粒がつかないのが気に入っています。」

「作家さんや焼き物に注目されがちだけど、なぜその土地で続いてきたのか、もっと背景を知りたい。」など長く使い続ける中で生まれる愛着や、使うほどに深まる工芸品の関心の声が多く聞かれました。

― コミュニティマネージャー阿部のコメント ―

「伝統工芸」という言葉に惹かれて、ずっと気になっていたけれど参加のタイミングを見計らっていたという方が、今回初めて一歩を踏み出してくれました。伝統工芸部のこの場が“出会いから行動へ”とつながるきっかけになっていることを感じます。