「三重テラス 伝統工芸部」第8回活動

「三重テラス 伝統工芸部」第8回活動 部活動

2026年3月17日(水)18:30~20:30

■ 参加者数:  15名 

今回は、15名のうち4名の方が初参加でした。

参加者同士で工芸品を持ち寄り、その背景や使い方について共有しました。

当日は、紀州漆器や砥部焼、岐阜県の工芸品(ワインオープナー)、福島県浪江町の相馬焼(左馬)など、さまざまな工芸品が紹介されました。それぞれの工芸品について、入手の経緯や使い方、込められた意味などが語られ、実際に手に取りながら理解を深める機会となりました。

また、「使うのがもったいなくて保管していた工芸品を持参した」という声や、三重テラスで過去に開催された、「伊勢型紙彫師による実演と模様付け体験」にて模様付けをした半襟を着物で活用してみたとお披露目いただく場面もありましたこの部活を通じて、伝統工芸品を日常の中で活用するきっかけにつながっていると感じました。

ー部員からのコメントー

「工芸品を身近に感じることができた」

「継承されてきた文化の価値を実感した」

「さまざまな工芸品を一度に見て触れられる貴重な機会だった」

「若い世代の作り手の存在を知ることができた」

「三重県津市出身で現在は日本橋で勤務しながら2拠点生活を送っているが

工芸品や食など、三重での生活の豊かさを再認識した」

― 伝統工芸部部長の漆原さんの感想 ―

3月17日に伝統工芸部第8回部活動が開催された。その約3週間前の2月末に中央エフエムの生放送に出演し、三重テラス伝統工芸部についてお話しさせて頂いた。以前、勤務先の仕事で同放送局に出演させて頂く機会があったが、スタジオでの出演は初めてであった。伝統工芸部で

活動させて頂いていることで貴重な機会を経験させて頂いたことに感謝申し上げたい。

その際に、伝統工芸部の部活動は江戸時代に行われていた「連」と類似していることをお話

しさせて頂いた。大河ドラマ「べらぼう」には狂歌連のシーンが何度か登場した。連には、他

にも俳諧、川柳、咄の会、漢詩文、和歌、書画、物産などをテーマとした活動があった。

 連の特徴は以下の7点に整理できる。

1 指示命令系統による組織ではなく、場を整える世話役が場を回すが、参加者は対等である

2 参加者が交互に作品を生み出し、ひとつの共有物として場を作り上げる。

3 組織の維持・存続が目的ではなく、集まった目的(活動)が達成されたり、熱が冷めたり

すれば自然に解散する。

4 日常の固定された身分や名前とは異なり、参加するコミュニティごとに異なる名や顔を持

っている。

5 自然な対話が可能な適正な人数を保っている。

6 固定化せず、絶えず参加者が入れ替わり、新しいアイデアが生まれる循環性を持っている

7 「個」が自律している一方で、共通の対象(趣味、知識、遊び)で緩やかにつながる。自

由と連帯の良いバランスを保っている。

上記のような特色が連にはある。伝統工芸部の部活動も人数が多ければ必ずしもいい訳では

ない。毎回参加しなくてもいい。逆に、たまにしか参加できなくても良い。初めての人でも気

軽に参加できる。所属している会社、団体、学校等の組織から遊離できることも魅力である。

そして、人間関係が上下関係ではなく、フラットである。世話役の役割は参加者の個性を引き

出すことである。江戸時代の長屋などの人間関係はおせっかいと誤解されがちだが、お互い干

渉せず、尊重することが基本だった。ただし、周辺への目配りはしており、人と人との距離感

が絶妙なバランスで保たれていた。付きすぎず離れすぎずが「連」の思想である。

伝統工芸部では、参加者各人が持ち寄った工芸品の鑑賞会を行っている。第8回部活動では

、15名の方が参加され、うち4名の方が初参加であった。参加者の方が持ち寄られた工芸品は

、備前焼の鉢、大堀相馬焼のマグカップ、東京洋傘、砥部焼の徳利とぐい呑、紀州漆器のカッ

プ、安比塗の汁椀、大内人形、朱の木盃、関のナイフ、紀州漆器の名刺入れ、オカリナ、伊勢

擬革紙の名刺入れなどである。刊行されたばかりの洋傘の専門書を著者の方自らが持参して下

さった。

自分の好みのものを披露するということは、少なからぬ抵抗感を持つことは自然なことであ

る。以前も伝統工芸部の感想で書いた河井寛次郎の「物買って来る、自分買って来る」のとお

り、自分の好みの物とはすなわち、いわば自分自身であるからであり、それを開示することは

抵抗感を持つことは当然に起こりうることである。中央エフエムで話したことであるが、私は

、その抵抗感を乗り越えるがことが大切であると考えている。鑑賞会に参加する過程で、自分

を客観的に見ることができる可能性がある。また、他の参加者から自分の気づかない良い点を

気づかせてくれることも起こりうる。さらに、他の人の物に関心を持ち、何かを感じることが

できるかもしれない。

実はほとんどの人が日常で使っている工芸品は非常にたくさんある。食器では箸、箸置、飯

碗、汁椀、お皿、お盆、トレー、鉢、カップ、ぐい呑、片口、アンブレラボトル、重箱、菓子

器、カトラリー、ワインクーラー等々。食だけではない。着物はもちろん、帯、ネクタイ、ル

ープタイ、ワイシャツなど衣に関するものもある。文房具でもボールペン、名刺入れ、名刺箱

、ブックカバー等々。他に、アクセサリー、アクセサリーボックス、時計、花入れ、バッグ、

壺、人形、茶筌、置物等々。枚挙に暇がないとはこのことである。物が少ない生活の必要性が

叫ばれる昨今であるが、私たちの身の回りに物は依然としてたくさんある。工芸品は生活に密

着したものだからである。

しかし、それらの多くを自信持って開示するのには相当な抵抗感や勇気がいる。それぞれの

工芸品を購入する時、選択にそこまで自信をもって行っている訳ではないし、そこまで時間を

かけて行えないということも当然ある。しかし、その中でも、自分のより気に入ったものを紹

介することで、自分を見つめ直したり、他者からエッセンスを頂いたりすることで、自分の美

意識を高められると考えている。江戸時代でも、物産品を鑑賞する連的な取組みが行われてい

た。身分制度や定められた仕事の枠を超えて多くの文化人が登場したが、その背景に連の影響

力があった。柳宗悦は「世の中を美しいものでいっぱいにしたい」と言った。工芸品の鑑賞会

は世の中に美しいものを広がる役割を果たしうる活動であると考えている。

加えて、連が教えてくれるのは、人の社会というのは協力しながら何かを生み出して発展し

ていくということである。協力関係の中にこそ自由を見出しうるのである。いつも協力して下

さっている三重テラスのスタッフの皆さん、また、参加して下さった皆さんに感謝申し上げま

す。今回もコミュニティマネージャーの阿部さんに大変お世話になりました。

― コミュニティマネージャー阿部のコメント ―

今回の活動では、参加者が実際に使っている、あるいは大切にしてきた工芸品を持ち寄り、その背景にあるストーリーを共有しました。そうした対話を通じて、三重をはじめとした各地域の魅力を身近に感じるとともに、「使うことで育まれる価値」について改めて考える機会となりました。